By ナオ船長
- 船乗りの労働時間の感覚
- 船種による労働時間の違い
船乗りの労働時間|結論
- 船乗りの労働時間の感覚
・船では長時間働いていても、残業をしているという感覚はない - 船種による労働時間の違い
▶︎労働時間は船によって異なる
・タグボート|夜勤業務が多い
・ケミカルタンカー|タンク掃除により労働時間が増える
・貨物船|ダンネジ片付けにより労働時間が増える
船乗りの労働時間
船にはあまり残業をしているという感覚がありません。
職場と自宅が同じなので常に働いているという感覚になります。なのでうまく休むことも仕事の内となり、その他緊急時には速やかに対処することも必要です。
それでは1日のスケジュールを詳しく見ていきましょう!
船乗りの1日|スケジュール
まず始めに航海中の航海士の仕事としてワッチ(見張り)というものがあり、3交代制で1人が4時間×2行います。
▶︎航海士A(ゼロヨン)
→0000〜0400 & 1200〜1600
▶︎航海士B(ヨンパー)
→0400〜0800 & 1600〜2000
▶︎航海士C(パーゼロ)
→0800〜1200 & 2000〜2400
ということになります。船によって固定ワッチ制、変則ワッチ制というものがあり、固定ワッチは今の例通り乗船期間中ずっと担当ワッチの時間帯は変わりません。
それに対し、変則ワッチは出航時間、ワッチをとった時間などにより時間帯が変わります。悪い時間帯の時もあればいい時間帯の時もあるので、個人的には変則ワッチがおすすめです。
荷役あり
荷物を積んで翌日揚げ荷役がある場合。
荷役あり時の1日のスケジュール|荷役+航海
▶︎8時荷役、2番目ワッチ
0600 | 起床|朝食 |
0645 | 荷役準備 |
0800 | 荷役開始 |
1200 | 荷役終了|昼食 |
1600 | ワッチ開始 |
2000 | ワッチ終了|夕食 |
自由時間|睡眠 | |
0400 | ワッチ開始 |
0700 | 荷役準備|朝食 |
0800 | 荷役開始 |
上記のようにワッチ終了前に荷役準備ががくることがあります。このような場合は、基本的にワッチは4時間交代ですが、3時間ちょいとっていれば次の人に交代となります。
▶︎労働時間|9h15m(起床0600前に航海していてワッチがあればさらにプラス)
荷役なし
揚げ荷役場所へ2日間ほどかかる場合(茨城から鹿児島など)は空き時間に船のメンテナンスをします。
荷役なし時の1日のスケジュール|航海のみ
▶︎2番目ワッチ
0330 | 起床 |
0400 | ワッチ開始 |
0800 | ワッチ終了|朝食 |
サビ打ち、ペンキ塗り、ロープの手入れ 書類関係、船内清掃など(1h程度) |
|
1200 | 昼食|自由時間 |
1600 | ワッチ開始 |
2000 | ワッチ終了|夕食 |
自由時間|睡眠 | |
0400 | ワッチ開始 |
0800 | ワッチ終了|朝食 |
メンテナンス|自由時間 |
メンテナンス等が終わればあとは自由時間なので趣味の世界に入ることができます。
▶︎労働時間|9h00m
荷役あり|その後仮バース
荷物を揚げた同じ場所で翌日も積荷がある場合は、荷役後仮バースといって船を岸壁につけて休むことができます。
荷役あり|航海なし時の1日のスケジュール
▶︎荷役だけ|前日から航海
0200 | ワッチ終了|仮眠 |
0700 | 起床|朝食|荷役準備 |
0900 | 荷役開始 |
1200 | 荷役終了 |
1300 | 仮バース|翌日まで自由時間 |
その港で遊びに行ったり飲みに行ったりは自由です。
▶︎労働時間|7h00m
見かけ上の労働時間は上記の通りですが、書類作業などの雑務も多くあります。さらに乗組員の食事を交代制で作る船は当番帯によってさらに労働時間は前後します(食事を作ると手当あり)
船種による労働時間の違い
始めにも記述した通り、労働時間は船によって異なります。
平水区域を航海する船舶
平水区域とは、湖、川及び港内等の水域です。たとえば東京湾の大部分、伊勢湾、瀬戸内海の一部も含まれます。
▶︎参考図
タグボート
平水船であることが多く、陸と同じように定時で家に帰ることもできる。基本の労働時間は1日8時間だが、大型船舶は夜間も入港してくるので、夜間作業も週に数回かある。(会社によっては夜間作業がほとんどのところも)
ガット船
クレーンがついた船舶で主に砂|砂利|石材等を運ぶ作業船です。積み時には陸側が行いますが、揚げ荷役は船側のガット士が行います。航海士(または機関士)兼ガット士の方は休む暇もなく労働時間も長いですが、その分手当が多くもらえます。
【平水船】
湾内ということもあり航海時間が短いので、1日に荷物の積み揚げを行うことが多く労働時間が長くなりがちになる。逆に積み(又は揚げ)荷物だけで終わる日もあり、そのような日は4時間ほどで終わることもある。
沿海区域を航海する船舶
沿海区域とは、おおむね日本、樺太の一部、朝鮮半島の海岸から20海里以内の水域です。
▶︎参考図
ケミカルタンカー
主に液体化学薬品を運ぶ船舶でポンプによって荷物の積み揚げを行います。ケミカル船特有の仕事としては船倉の洗浄です。薬品同士が混ざることは厳禁なので、違う薬品を積む際には毎回洗浄を行わなければなりません。水洗い、洗剤洗い、お湯洗い、蒸気蒸し等薬品によって洗い方が異なり、長いときには洗浄だけで3時間ほどかかることもあります。
ポンプやボイラ、薬品の温度管理等は機関士の仕事なので、必然的に機関士の仕事量は多くなります。
貨物船
小麦|ウッドチップ|鋼材|スクラップ|一般貨物など様々な荷物を運ぶ貨物船。この船種も船倉の洗浄や掃き掃除等があります。鋼材船はダンネージの片付け作業が結構な力仕事になります。
【専用船】
様々な荷物を積む船とは逆で、同じ荷物しか積まない船舶のことを専用船と言います。同じ荷物ゆえに洗い物や片付け作業が少なく、体力的にも楽ですがその分手当が無くなります。
※一概に全ての船がこうというわけではないのであくまで参考に。
船乗りの労働時間|まとめ
- 船乗りの労働時間の感覚
・船では長時間働いていても、残業をしているという感覚はない - 船種による労働時間の違い
▶︎労働時間は船によって異なる
・タグボート|夜勤業務が多い
・ケミカルタンカー|タンク掃除により労働時間が増える
・貨物船|ダンネジ片付けにより労働時間が増える
重要だから最後にもう一度言うと、労働時間は船によって異なるんだ。
船を探すときには船舶がどのようなものを運び、どのような作業があるのかを熟知しておくといいね。
隣の芝生は青く見えることもあるから、目当ての船種に乗船している人に話を聞いたり、船会社に問い合わせをしてしっかり見極めていこう!
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ではでは、ごきげんよー!!