By ナオ船長
- 船乗りの食費
- 食事は誰が作るのか
- 食材の仕入先
- 船乗りが食材を買うときに気をつけること
- 食事メニュー(例)
船乗りの食事|結論
- 船乗りの食費
・食費は会社が支給|自炊すれば0円!
- 食事は誰が作るのか
・司厨士
・それぞれが自炊
・みんなの食事を交代で作る
- 食材の仕入先
・スーパーマーケット
・沖売り
・釣る
- 船乗りが食材を買うときに気をつけること
・できるだけ賞味期限の長いものを選ぶ
・台風が近づいてくるときはいつもよりも多めに買う - 食事メニュー(例)
・朝|ご飯、味噌汁、納豆、目玉焼きor焼き魚、ヨーグルト/バナナ
・昼|チャーハン/ラーメン/オムライス/焼きそば/丼もの/スープ
・夜|刺身/煮付け/餃子/ステーキ(たまに)/あら汁/つまみ系
船乗りは食費0円?!
まず食費についてですが、商船において食事は船舶所有者(会社)が支給します。これは食料の支給というもので「船員が(中略)船務に従事する期間中は食料の支給をしなければならない」と船員法で定められています。
どれくらいかと言いますと、船にもよりますが1人あたり3万〜4万円/月が相場です。なので乗船期間中は普通に自炊すれば食費0円ということですね。
注意ポイントとしては、基本的に自分が食べるお菓子、飲み物(ジュース、アルコール類)などは自腹となります。
食事は誰が作るの?
外航船やトン数の大きい内航船(船員数が多い)であれば司厨士の方が乗っています。しかし、トン数の小さい船(499トン)の船員数は5〜6人です。なので自分たちで作らなければなりません。ではどんな方法で食事を作っているのでしょうか。
これは船によって異なりまして、2つに分かれます。
- それぞれが自炊
- 皆の食事を交代で作る
それぞれが自炊
乗組員一人一人に食料金が渡され、それぞれ自炊する方法です。自分の好きなものが食べられるということが利点ですが、逆をいえば作るのが面倒くさくなり、カップラーメンばかりになってしまうこともあります。
それぞれが自炊をする船でも、一人3,000円を米代として徴収し、米だけは皆で炊くという形を取っているところもあります。
皆の食事を交代で作る
交代で作る場合は、皆の食料金を集めそれで一ヶ月やりくりします。料理はまとめて作った方が何かと節約できるので、割とボリュームのあるものを食べることができます。しかし自分が食べるだけならいいのですが、作る場合、船員さんの好き嫌い、バリエーションや栄養面にも気をつける必要があります。
船にもよりますが、航海中は機関部が作り、停泊中(錨を打って海上で停まっている状態)は甲板部が作るという分け方もあります。シンプルにその船で一番若い船員が毎日3食、皆のご飯を作る船もあります(船に乗りたての頃、僕がそうでした)
食材の仕入先
船での食材の仕入れ先は下記の通りです。
- スーパーマーケット
- 沖売り
- 釣る?!
スーパーマーケット
ほとんどがスーパーで食料を仕入れます。荷役(貨物の積み下ろし)の合間に1、2名が買い出しに行きます。荷役時間は2時間〜8時間かかるので、その間に買って来なければなりません。遅れると陸に置いてかれます。笑
一回の買い出しは大体一週間分で、3万円〜8万円、多いときはもっと使うこともあります。
買出し中〜まだまだ買うものがある🐟🍖🥒🍺 pic.twitter.com/jUVG33CazL
— ナオ🚢ノマド航海士 (@naosuke_ship) March 29, 2018
↑買い出し中。カート数は上下使って3〜4カートになります。そして毎回レジで周りのお客さんから白い目で見られます。笑
購入するときの注意点としては、
- できるだけ賞味期限の長いものを選ぶ
- 台風が近づいてくるときはいつもよりも多めに買う
という2点です。どれもなかなか買い出しにいけない船乗りならではの注意点ですね。
沖売り
沖売りとは船内生活で必要な物資、食料などを沖合い(海の上)で直接売り渡す船のことです。さまざまな商品が置いてあるのでまさに海のコンビニといえます。新鮮な魚、卵から野菜まで買うことができます。
釣る
船に釣り好きの人が乗っていると、停泊中に釣りをして魚を釣ってくれます。その場で捌いて刺身にしたり、みりん漬け、一夜干しなどにして食べます。
↑釣り好きさんが釣ったスズキ。でかい。
番外編:トビウオが勝手に飛んでくる?!
初めて見たときは驚きましたが、たまにトビウオが船に乗ってくることがあります。これも目を見て新鮮そうであれば捌いて食料にします。(流石にあたると怖いので刺身にはしませんが。。)
↑運悪く船に乗船してしまったトビウオ
船乗りはどんな食事をしているの?
これは完全に船によるのですが、元漁船乗りの方が多い船などはやはり魚が多いです。僕が乗っていた船の食事を例に上げていきます。
【朝】
▶︎ご飯、味噌汁、納豆、目玉焼きor焼き魚、ヨーグルト/バナナ
一般的な朝ごはんと変わらないと思います。しかし朝にパンやコーンフレークはあまり食べません。朝しっかりと栄養をとって仕事をするためですね。一度グラノーラを買ってきたときは怒られた記憶があります。笑
【昼】
▶︎チャーハン/ラーメン/オムライス/焼きそば/丼もの/スープ
荷役をしていることが多いので、さっと食べれるものを作ります。
【夜】
▶︎刺身/煮付け/餃子/ステーキ(たまに)/あら汁/つまみ系
お酒を飲む船員が多いので割とつまみ系が多い気がします。すべてにおいてなるべく偏らないように、肉、魚、野菜を組み込んで作ります。
↑ある日の夜ご飯。ちゃんとサラダもあります。食べかけですいません。。
(カツオの刺身、なめろう、フライドチキン、あら汁、サラダ)
時化のときの食事
時化とは海が荒れている状態のことで、かなり船が揺れます。そんな状態でご飯を作るのはしんどいので、そのようなときは冷食やレトルト食品を使用することもあります。当たり前ですが、汁物だけは確実に避けます。
↓船酔い対策についてはこちら
カレーを食べるって聞いたけど?
たまに、船って「毎週カレー食べるんでしょ?」と聞かれることがあります。答えからいうと商船では毎週決まった曜日にカレーは食べません。
現在では海上自衛隊が取り入れています。毎週金曜日にカレーを食べるというのは、長い遠洋航海で曜日感覚を失わないためですね。
※僕は寮制の海員学校に通っていたのですが、そこでは毎週金曜日カレーが出ていました。
船の上でのバーベキュー
船上で休みの日には、たまに皆でバーベキューをすることがあります。海を見ながらの焼肉&ビールはただただ最高としかいいようがありません。海上では船員同士の信頼関係が重要なので、深めるためにもこういったことは必要なのです。
本日は牛タンBBQ🐄
真ん中の霜降りを焼肉に、周りは後日カレーに。 pic.twitter.com/uq92vQzfT9— ナオ🚢ノマド航海士 (@naosuke_ship) February 1, 2018
船の調理設備
船内での調理器具はIHが主流です。
危険物積載船は荷物によって、荷役中はガス(火)の使用が禁止されています。まだガスの船もありますがこういったことから、これからの新造船はすべてIHになっていくでしょう。
船乗りは料理にハマる?!
船に乗りたての頃は「自分は料理人になるために船に乗ったのか?」と思うくらい毎日料理を作っていました。作るのは嫌いではなかったので割と楽しみながら作っていました。
むしろ料理好きな人はさまざまな食材を扱えるので嬉しいかもしれません。おかげで今ではないものでも一から作るようになりました。これも船内でのひとつの楽しみです。
買出しに中々行けないので、ビーフジャーキーは自分で作るスタイル🍺
→3日冷蔵庫で寝かせて、3日干せば出来上がり☀︎ pic.twitter.com/som0chRkGh— ナオ🚢ノマド航海士 (@naosuke_ship) April 7, 2018
↑台風でしばらく買い物に行けず、どうしてもしょっぱいものが食べたくなった時に作ったビーフジャーキー
【3分で出来る船上プリン】
卵×1
砂糖小さじ×3 (お好みで)
牛乳 130cc①材料を全部混ぜる
②ラップして電子レンジで2分チン
③冷まして冷蔵庫→出来上がり★ pic.twitter.com/ursnEM9aeh— ナオ🚢ノマド航海士 (@naosuke_ship) May 10, 2018
↑台風でしばらく買い物に行けず、どうしても甘いものが食べたくなった時に作ったプリン
買出しに中々行けないので、ポテトチップスは自分で揚げて作るスタイル🚢 pic.twitter.com/By03oPZ3xq
— ナオ🚢ノマド航海士 (@naosuke_ship) October 4, 2017
↑台風でしばらく買い物に行けず、どうしてもお菓子が食べたくなった時に作ったポテトチップス
船乗りにとって食事は大きな楽しみ
- 船乗りの食費
・食費は会社が支給|自炊すれば0円!
- 食事は誰が作るのか
・司厨士
・それぞれが自炊
・みんなの食事を交代で作る
- 食材の仕入先
・スーパーマーケット
・沖売り
・釣る
- 船乗りが食材を買うときに気をつけること
・できるだけ賞味期限の長いものを選ぶ
・台風が近づいてくるときはいつもよりも多めに買う - 食事メニュー(例)
・朝|ご飯、味噌汁、納豆、目玉焼きor焼き魚、ヨーグルト/バナナ
・昼|チャーハン/ラーメン/オムライス/焼きそば/丼もの/スープ
・夜|刺身/煮付け/餃子/ステーキ(たまに)/あら汁/つまみ系
魚ばかりで漁師飯のような食事をしていると思われがちだけど、割といろんなものをバランスよく食べているよ(確かに魚は多い)。
船乗りにとって毎日の食事は、船内での大きな楽しみのひとつなんだ。
長い航海を乗り切るためにも、しっかりと栄養をつけて健康維持したいね!
船乗りのなり方が気になる人は下の記事も見てみてね!
ではでは、ごきげんよー!!