By ナオ船長
- 船乗りの仕事はきついのか
- 船乗りの仕事がきつい理由
- きつくても続ける理由
船乗りの仕事のきつさ|結論
- 船乗りの仕事はきついのか
・きつい! - 船乗りの仕事がきつい理由
・精神的なきつさ|人間関係が難しい、逃げ場がないetc
・肉体的なきつさ|生活が不規則、労働時間が長いetc
- きつくても続ける理由
・それでも働くメリットが多くある(下記参照)
船乗りの仕事はきつい!
結論から言いますと、船乗りの仕事はきついです。
実際に港に着いて、新米船乗りの部屋を見にいったら荷物がなくなっていた(逃げ出した)なんてことも珍しいことではありません。一体どんなところがきついのか見ていきましょう。
船乗りの仕事がきつい理由
きつさというものは2種類あります。それは精神的なこと、肉体的なことです。これを掛け合わせたものがきつさになるんですよね。
精神的なきつさ
人間関係が難しい
一番の問題は人間関係です。コミュニケーションの問題でもありますが10代から60代(稀に70代もいる)の船員が乗っているので、年齢が離れすぎてまず話が合いません。そしてどんなに嫌な人とも毎日顔を合わせなければなりませんので、これがかなりのストレスになります。
海員学校を卒業して初めて乗船した時は、毎日辞めたいと思っていました。
逆にいえば人間関係がクリアできれば、船内生活は楽しいです。休暇が少なくても、給料が高くなくても、人間関係さえよければ不思議と肉体的にも精神的にも辛くないものです。
逃げ場がない
なにがあっても航海中は逃げ出すことができません。
荒天時には、船が信じられないくらいに揺れますがその中でもしっかり職務を全うしなければなりません。
逃げ場がないというのは精神的にかなりくると思います。しかし、いくつもの荒波を乗り越えてきたというのは自信にもなりますし、船乗りの醍醐味でもあります。
肉体的なきつさ
生活が不規則
航海中の航海士の仕事としてワッチ(見張り)というものがあり、3交代制で1人が4時間×2行います。
▶︎航海士A(ゼロヨン)
→0000〜0400 & 1200〜1600
▶︎航海士B(ヨンパー)
→0400〜0800 & 1600〜2000
▶︎航海士C(パーゼロ)
→0800〜1200 & 2000〜2400
これにより、例えば航海士Aの場合だと、
0000 ワッチ開始
0400 ワッチ終了、就寝
0700 起床、荷役準備
0800 荷役開始(約4時間)
1200 荷役終了、そのままワッチ
1600 ワッチ終了、次のワッチ(0時)まで休息
ということになります。船によって固定ワッチ制、変則ワッチ制というものがあり、固定ワッチは今の例通り乗船期間中ずっと担当ワッチの時間帯は変わりません。
それに対し、変則ワッチは出航時間、ワッチをとった時間などにより時間帯が変わります。悪い時間帯の時もあればいい時間帯の時もあるので、個人的には変則ワッチがおすすめです。
労働時間が長い
先ほどのワッチをみて分かるように、労働時間が長いです。
通常の運行に加え、荷役作業、保守点検、ペンキ塗り、ロープの手入れ、書類関係、船内清掃などやることが山ほどあります。なので必然的に労働時間は長くなります。
さらに、乗船中は休憩中であっても緊急時のために24時間待機しているような感覚です。
しかし船乗りの仕事は面白い
ここで船乗りのメリットを見ていきましょう。船乗りのメリットは山ほどあります。
その中でも特に魅了的だと言われるものは下記のようなものになります。
- 長期休暇
- お金が稼げる
- 食費0円
- 光熱費0円
- 通勤時間0分
- いろんな場所に行ける
- 覚えられやすい
- 趣味に没頭できる
- 壮大な自然を感じれる
- 乗り物のスケールが大きい
長期休暇
なんといっても一番の魅力は長期休暇!
まとまった休みが一ヶ月もあると好きなことは大体できますね。このために船乗りになったという人もいるくらいです。年に3回夏休みがある(3ヶ月乗船の場合)と思うとなんだかテンションが上がります。
お金が稼げる
船乗りはお金を稼げます。普通に3ヵ月乗れば100万円がある状態で休暇を過ごすことができます。
船乗りは金遣いが荒いと言われる理由は、乗船期間中にお金を使う機会があまりなく、3ヶ月働いた分を休暇中に一気に使ってしまうからです。
食費0円
乗船中の食費は0円です。
商船において食料は船舶所有者(会社)が支給します。船にもよりますが、1人あたり3万〜4万円/月が支給されます。食事は司厨士が乗船していない場合、自分たちで作ります。
※基本的に自分が食べるお菓子、飲み物(ジュース、アルコール類)などは自腹となります。
日用品(一部)、光熱費0円
船内での日用品(洗濯洗剤、ティッシュ、トイレットペーパーなど)は船で支給されます(一部限りでない)。そして発電機が常時回っているので、船内は24時間空調完備です。
もちろん光熱費0円。
通勤時間0分
船乗りに満員電車は関係ありません。
顔洗って作業着に着替えて自室のドアを開ければ即出勤です。
日本各地いろんな場所に行ける
日本各地の港に荷物を運ぶのでいろんなところに行くことができます。
乗船期間中にも休日があり、そのタイミングで観光ができるので旅好きにはたまりません。大分で休みがあれば温泉、香川で休みがあれば金比羅山を登ったり、うどんを食べたりということができます。
家族に現地のお土産を送ることもできますね。
覚えられやすい
初対面の人に「船乗りです」と話すと質問攻めにされることが多く、まず会話に困ることはありません。
ほかには、一度行ったバーに半年ぶりに行っても「船乗りの人だ!」と覚えてもらえてることが多いです。これは船乗りならではのメリットだと思います。
趣味に没頭できる
船内でも休日や空き時間があるので趣味に没頭できます。
読書、ギター、筋トレ、釣り、イラスト、小説を書くなど家でできる趣味との相性がいいです。特に釣り好きに船はたまりません。
壮大な自然を感じれる
どこまでも続く水平線、クジラ、トビウオ/イルカの群れ、満天の星空と流れ星、幻想的な夜光虫による青白い航跡など。。日常的にこういったものが見られると、船乗りでよかったなぁと思えます。
▶︎太陽が沈む瞬間に緑色になるグリーンフラッシュという現象も運がよければ見ることができます。
乗り物のスケールが大きい
船という圧倒的にでかい乗り物を自分が動かしているという快感はすごいです。
船がどのくらいの大きさかを説明すると、内航船で多い499t(60m)というサイズは、20階建ての高層ビルに相当します。それをそのまま横にして海に浮かべているという感じです。
船を操縦するという責任感は凄まじいですが、とてもやりがいがあります。
船乗りの仕事が自分にあっていると思った瞬間
僕は旅行が趣味なので、全国各地にいける船乗りの仕事はとてもあっていました。仕事さえきちんとやれば、あとは自由というスタンスも好きです。
それと漫画をよく読むので、ブックオフで全巻セットを購入し空き時間に自室で読めるというのもいいですね。
しかし、旅行が好きでもなく趣味もないからつまらないと思う人がいると思います。そんな人は長期休暇中にいろんなことに挑戦して、自分の熱中できる物を船に持ち込むことをお勧めします。
どれだけ船の上で工夫して楽しめるか、それが船乗りを面白く感じるコツであると思います。ぶっちゃけ人間関係が悪くその船をすぐやめたとしても、どこも人手不足でいくらでも船の就職はあるので安心してください。
船乗りの仕事はきつい、しかしこんなにもやりがいがある仕事はない!
- 船乗りの仕事はきついのか
・きつい! - 船乗りの仕事がきつい理由
・精神的なきつさ|人間関係が難しい、逃げ場がないetc
・肉体的なきつさ|生活が不規則、労働時間が長いetc
- きつくても続ける理由
▶︎それでも働くメリットが多くある
・長期休暇
・お金が稼げる
・食費0円
・光熱費0円
・通勤時間0分
・いろんな場所にいける
・覚えられやすい
・趣味に没頭できる
・壮大な自然を感じれる
・乗り物のスケールが大きいetc
船によってはかなりきつい仕事だけど、工夫して楽しむことを忘れないようにすることで長く続けられるよ。もちろん慣れるまでは本当に大変だけどね。
ちなみに僕は会社を3回変えてやっと人がいい船に乗ることができたんだ。人間関係がいいとこんなにも楽しいのかと驚いたよ。
結論、いろんなことを差し引いても船乗りになってよかった!
船乗りのなり方が気になる人は下の記事も見てみてね!
ではでは、ごきげんよー!!